
これまで、たくさんの子どもたちと出会い、一緒に学習をしてきました。塾という場である以上、成績を上げることが私たちの仕事ではありますが、学ぶということには段階があり、無理に詰め込もうとしても限界があること、簡単には身につかないこと、そして学びとは受験勉強に限らず、一生を通じて必要なものだということを、日々の指導を通して実感しています。
どんなに優れた教え方や綿密な計画を立てても、それだけで学びがスムーズに進むわけではないことにも気づきました。できることから少しずつ積み重ねていくことで、やっと少しずつ結果が見えてくる——そんなペースかもしれません。しかし、長い目で見れば、それこそが子どもたちにとって本当の力になっているように思います。
もちろん、成績が上がったり、志望校に合格したりすることは嬉しいことです。しかし私が本当に心を打たれるのは、日常のふとした瞬間に見せてくれる、子どもたちの優しさや感性に触れたときです。
たとえば、授業が終わった後、机に鉛筆の跡が残っていることに気づいた子が、「あ、すみません」と言って拭き始め、なかなか消えないと「これ、消えますか?」と尋ねてくれる。そんな姿に、その子の持つ心の透明さを感じずにはいられません。
この世界にはさまざまな人がいて、さまざまな考え方があります。そして、正解のない問いもたくさんあります。それはこれからますます顕著になっていくでしょう。
これからの世の中では、物事がうまくいかない壁も多く立ちはだかるかもしれません。そんなとき、ただ強くなるだけでなく、みんなで支え合い、寛容な社会を築いていくことが必要です。
それぞれが自分なりの「一筋の光」を見つけ、進んでいく。
その光が増えていくことで、きっと周囲も明るく照らされていくのだと思います。
もう「学校に通っているか、通っていないか」ではなく、
子どもたちが「自分の光を見つけているかどうか」が重要な世の中になっていって欲しい。
人は誰もが完璧ではありません。けれど、ジグソーパズルのように、お互いの足りないところを補い合えば、美しい全体を形作ることができます。
視点を変えれば、物事の見え方も変わります。
多様な方向から物事を見て、価値観が少しずつ広がっていくことを、心から願っています。






